近況報告(2012年7月7日)


半年以上ご無沙汰しましたが,藤原研究会(藤原ゼミ)卒業生の諸君,お元気ですか。本年上半期の報告をします。

1.著作物・講演等
著作物としては,論文は依然として執筆途上のため,わずかに前回予告の昨年暮れの行政判例研究会での判例研究「検査官の個人情報名を明示して提起された特定の検査官に係る調査依頼書に関する書面の開示請求について,存否応答拒否が適法とされた事例」自治研究887137149頁のみです。
510()第二東京弁護士会消費者問題対策委員会主催シンポジウム「地方自治と原子力行政のあり方,そして消費者」にパネリストとして参加しました。司会は川井康雄弁護士と紀藤正樹弁護士で,他のパネリストは,猪瀬直樹・東京都副知事,橋本大二郎・前高知県知事,佐藤栄作久・前福島県知事という顔触れで,白熱した議論になり,得難い経験になりました。

2.出張
前回予告のように,4月に恒例の欧州ガス会議(於・アムステルダム)に出ました。10年以上にわたって欧州ガス会議に出ていますが,今回ほど日本からの出席者が複数だったのは初めてだし,メイン会議で日本からの報告者が出たのは初めてです。「311」以後,わが国の存在が従前に増して国際ガス市場においてより注目されるに至った証左でもあります。帰国後折にふれて会議の模様などを伝え,いわば橋渡し役を自認してきましたが,私の役割もそろそろ終えたように思われました。
独逸に移動し,Bonn大学のProf. Dr. Schmidt-Preußに会い,私と彼の共通項である行政法,エネルギー法,テレコム法の意見交換のほか,前回と同様,奥様手料理の夕食にも招待され大歓迎でした。彼が編集委員をしている独逸のエネルギー法専門誌(RdE)への寄稿の申し出を受け,有り難く思いました。来春原稿執筆の心積もりです。
またエッセン市見本市会場近くのE.on Ruhrgasビルで,6年来の知人であるDr. Götzen (E.on Gas Storage) と,15年以上に及ぶ知人でIBA(国際法曹協会)会員でもあるDr. von Burchard (E.on Ruhrgas) に会いました。ちょうどE.onグループが大リストラクチャリング計画中で,Ruhrgasに関しても,ガス貯蔵施設はガッチリ保有し続けるものの,パイプラインは売却です。いわゆるアンバンドリング(分離)のいきつく先は,「誰もネットワークを持ちたがらない」ということではないかと感じました。なお,アンバンドリング(所有分離でない)のため同じルアガス・グループでも自由往来が認められず,通路が幾重にもカギがかかったドアで仕切られ,部外者はカギを持たないため,von Burchardが私に会いにGötzenの部屋にたどりつくのにひと苦労だったとのことでした。なおE.on Gas Storageは,近々,昔のルアガスがあったビルに戻るとのことでした。
今秋,エネルギーの会議を中心にすえ欧州出張(英国及び独逸あたり)を計画中です。
国内出張では,6月に公共政策学会と公益事業学会の日程が完全に重なり,ともに京都市内だったので,初日は小雨の中を両学会かけもちで同志社と立命館を複数回往復し,てんてこまいでした。2日目は公益事業学会のみに出ました。特筆すべき事項として,公共政策学会で,再生可能エネルギー助成策に関する報告についてフロアからコメントしました。公益事業学会懇親会で,八田英二同志社理事長・大学学長と名刺交換したところ「先日キリスト教主義大学の会合で,明治学院大学に出張した」とのことでした。2日目の公益事業学会では,部会報告でのコメンテーターをつとめました。

3.授業
春学期(昔のことばでいう「前期」),明治学院大学法科大学院で「公法応用2」(2年生必修科目)2コマ2クラス,「行政法2」(新設選択科目。2年コース生は本年から,3年コース生は明年から必修科目化)1コマ,慶應義塾大学法科大学院で「現代行政争訟」(選択科目)1コマを担当しています。うち慶應義塾での演習はたしか5年目か6年目ですが,今年顕著なことの第一は,履修者が40名を超えたことです。例年通り全員の履修を認めたものの,報告希望をかなえるために,昨年度の報告者2名体制から今年は3名体制でしのぎました。全般的に,うまく分担しての報告になっています。質疑応答に関しては,多人数のため,公平に指名するよう心掛けているものの,挙手しても発言できない者が残るというのが泣き所です。第二に,2年生の履修者が例年以上に熱心なことです。2年生の話では,今年の入学者は中央大学が入試科目に行政法を必修化したため,併願にそなえ入学前から行政法を勉強してきたものの,行政法必修科目が始まるのが秋学期(昔のことばでいう「後期」)なので,春学期において,行政法の学力を維持発展させておきたいとのことです。行政法は新司法試験でも(憲法の論文式事例にもからんでおり)重要科目なので,おそらくこの「中央効果」によって,2年後は,ますます上位校の合格者のシェアが高まると予想されます。
秋学期は,明治学院大学法科大学院で「行政法」(1年生必修科目)2コマ,「公法判例演習」(選択科目。慶應義塾の「現代行政争訟」の明学版)1コマの予定です。

4.就職活動?
前回報告のように明20133月に明治学院大学を(68歳定年プラス1年で69歳)退職です。研究はいうに及ばず,教育でもまだまだやれそうなので,ここでの「隠居」は考えていません。近時の大学の厳しい経営環境からすると,所属の学部・大学院研究科にこだわらないものの,次の就職先大学というのは期待薄です。このご時世,研究に没頭できるポジションをシンクタンク等研究機関に求めるのも,同様に期待薄と思われます。
そこで私の持ち味が生かせる「行政法[判例・事例]演習」,「週刊時事事例」,「エネルギー法」等の科目・講座でお声がかかれば,招聘・客員教授,非常勤といった身分を問わず,積極的に引き受ける覚悟でいます。

5.音楽&カラオケ
昨年5月の欧州出張時は,ボンのベートーベン・ハーレでブルックナーの8番を聴きましたが,本年4月の欧州出張時は,デュッセルドルフで4番を聴きました。地元密着の演奏会ということもあって,いずれも演奏の前に指揮者による解説や鼎談がありました。私はモーツァルト派ですからブルックナーは滅多に耳にしませんが,ブルックナーといえば指揮者の故・朝比奈隆氏が有名で,海外でも評価されました。ところが本年CSクラシカ・ジャパンで放送されたN響アワーで登場の朝比奈氏は,ベートーベン第9のさわりのみで,朝比奈・ブルックナーを観ることができず残念な思いです。
311以降,長淵剛「ひとつ」,AKB48「風は吹いている」等,震災をモチーフにした歌が数多くつくられました。カラオケのヒットチャートにおいても,懐かしい我が持ち歌の(911のときにつくられた)「ハナミズキ」(一青窈)や「三日月」(絢香)が再登場したものでした。今は若干落ち着いてはいますが,「ハナミズキ」は依然人気です。「明治学院に移ってからカラオケの機会がない」との私のつぶやきに端を発して,319日,学内での法科大学院修了記念パーティの二次会として,教員と卒業生(既卒,新卒)数名と品川駅近くの「ビッグエコー」にくりだしました。暖めていたAKB48は無難な「ヘビー・ローテーション」にしました。修了生にと選曲の「栄光への架橋」(ゆず)は,出だしが低すぎる感じがして音程をあげすぎ失敗しました。上記2曲のほか,新曲を数曲仕入れていますので,いずれゼミOB会で披露します。お楽しみに。

201277日 藤原淳一郎

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