近況報告 2024年12月1日
(1)今秋10月27日の衆議院選挙と同時に実施された最高裁判所国民審査の公報により、今崎幸彦長官が高校の後輩であることを知りました。旧制神戸一中から田中二郎、伊藤正己という2名の最高裁裁判官を輩出しています。ひそかに次は高校卒業同期の「E裁判官か私か」と思っていましたが実現せず、今回の今崎裁判官が新制高校初の最高裁判事です。 (2)ところで10月の衆議院選挙における自民党の敗北、国民民主党躍進等、さらには11月の兵庫県知事の失職にともなう出直し選挙での斎藤知事をめぐって、論壇では選挙の結果に影響を与える主導メディアとして、「旧来のマスメディアからSNSへ」と称し、あたかもSNSが大衆民主主義の牙城であるかのような礼賛論が幅を利かせています。知事選挙はまさに「勝てば官軍」で、斎藤知事の過去の疑惑も全て捏造だったといわんばかりの論調すら散見されます。これらを単純に「ポピュリズム」と片付けられないような深刻な問題をはらんでいます。というのは、若者にありがちな、新聞、TV等のマスメディアから遠ざかり、SNSのみを情報源とするときに、一方の側の主張のみに接して、反対または批判的意見に接しないとなると、一方的主張を鵜吞みにする危険性が高まるからです。アメリカ合衆国の大統領選挙でもみられる現象です。その結果、プーチンやヒトラー等の独裁者大好き人間のトランプは、上下両院選挙でも大勝したトリプルレッドのもと、ご意見番抜きのロボット的イエスマンばかりの政権で外交も内政も担当するつもりのようです。こうした状況下で、冷戦時代にもてはやされた「西欧民主主義モデル」にほころびが見え危機的状況にすらあります。万能薬はないにしても、そろそろ代替的・補完的システムの議論が必要な気がしています(板橋「ポピュリズム」細谷雄一・板橋拓己編著『民主主義は甦るのか』280頁参照)。 (3)自民党総裁選時には「マイナ保険証」への全面切替えに消極的だったはずの石破総理、計画の日程にストップをかけません。切替え積極論は、緊急時に医療・投薬履歴を一覧できること、個人識別性を抜いた大量のデータを医療研究・医薬品開発に利用できること等、医療・医薬サイドの側の好都合を挙げます。しかし我々患者にしてみれば、「知られたくない情報」もあるはずです。たとえば診療機関、副作用を含む体に合わない薬の処方もそのままデータとしては残ります...