近況報告(2014年7月3日)


藤原研究会(藤原ゼミ)卒業生の諸君、その後お元気ですか。今年上半期の報告です。

[自治会長]

 5月の自治会総会および港南台第一小学校防災拠点運営委員会引継会を済ませ、やっと一段落です。藤原政権の目玉政策だった自治会独自の「街路灯LED化プロジェクト」は、12月に30灯分のLED化契約を締結し、設置地点の選定も終えた1月下旬に、突如として横浜市が、平成26年度にPFIにより「NTT/東電共架全灯LED化」の方針を明らかにしました(「構想」を、ぱくられた?)。このため契約先に迷惑をかけましたし、町内会中点検にまわった我々の苦労も水泡に帰しました。自治会総会で「結果論ながら無駄な予算執行」と批判されかねなかっただけに、大事に至らなかったのは幸いです。
 3月の、次期自治会役員選任時に、留任や1年間「顧問」就任の声も皆無ではなかったが、「研究に戻る」との方針どおり退きました。防災拠点の運営委員会は、慣例により、1年間はアドバイサ-として残らざるを得ませんでした。

[研究アウトプット]

 論文は難航しています。先便で述べた1月の行政判例研究会の報告原稿が『自治研究』8月号あたりに掲載の見込みです。自治会長として見聞した出来事について、事例演習形式で『自治実務セミナー』に不定期連載の企画が認められましたので、(9月号あたりから)楽しみにして下さい。

[学会活動]

 318日(火)午後1時、公益事業学会政策研究会のシンポジウムが開催されました。藤原報告の要点は、公益事業研究に掲載予定のほか、帝京大学・橋本悟氏の尽力によりYouTubeで配信されています。www.youtube.com/watch?v-OGhTstTwznk
 古稀定年により公益事業学会理事を退きましたが、学会賞委員長はあと1年です。同学会企画委員会設置の(電力、ガス)2研究会に参加しており、ガス制度研究会は今年度活動を開始し、電力も間もなく再開と聞き及びます。
 春の学会に出席しました。「今年はおとなしくしていよう」と思いながらもフロアからついつい発言する癖は治らず、まるで「絶滅危機種」と自認しています。67日(土)は、日帰りにて高崎経済大学で開催の日本公共政策学会に参加しました。午前の「司法と政策・行政」では、田中孝男・横田明美・吉田勉の3報告全てに質問・コメントしました。午後のシンポジウム「原子力法制における諸問題」では、第一に原子力損害賠償法改正の議論で高橋滋報告の有限責任を国会の判断に委ねる選択肢について、政争の道具になりかねないと反対意見を表明しました。第二にゼミ卒業生の友岡史仁報告にあった原子力規制委員会への規制の一元化について、従前のダブルチェック体制の利点等についてコメントしました。
 614日、15日両日は、駒沢大学で開催の公益事業学会に参加しました。14日(土)午後のシンポジウム「スマート化する社会と公益事業」では、シンポジウムの最後に、「エネルギー分野についていえば、前世紀末の電力でのDSMDemandSide Management)、ガスでのCESCommunity Energy System)構想、サンシャイン推進本部(新エネルギー財団への委託研究)での太陽等新エネルギー・分散型エネルギーの民生利用検討等では、今回のテーマとの『連続性』を感じる反面、ICTEV(プラグ電気自動車)等、スマート化社会を推進する新技術の登場が『不連続』性を構成する」という旨の感想を述べました。個別報告では、14日のNHK経営企画局植田記康報告、15日の電力中央研究所・遠藤操報告に対して質問しました。

[社会的活動]

 郵政行政・情報通信行政審議会(接続委員会・ユニバーサルサービス委員会)専門委員、情報通信審議会電気通信事業部会(接続政策委員会・ユニバーサルサービス政策委員会)各専門委員、原子力発電環境整備機構(NUMO)情報公開適正化委員会委員長、コージェ財団(コージェネレーション・エネルギー高度利用センター)特別会員、次世代電力ネットワーク研究会会員等は継続中です。
 長年勉強・交流の機会を与えられた「エネルギー総合推進委員会」(専門委員会委員)は、本年3月に解散しました。エネルギーをめぐるこの大事な時期なので、残余金を活用して数年活動できたと思われ、残念な結果です。他方、中立者委員として制度発足時に「ルール策定委員会」で汗をかいた「電力系統利用協議会(ESCJ)」は、電気事業法改正による「広域的運営推進機関」(28条の4以下)にバトンタッチのため、今年度が最終年度です。
 第二東京弁護士会では、昨年来の情報公開・個人情報保護委員会に所属し、パーソナルデータ(いわゆるビッグデータ)等につき勉強中です。アンケートで第2希望にしていた消費者問題対策委員会からも声がかかりました。紀藤正樹弁護士の話では「消費者問題対策委員会は人気がある委員会なので、第2希望で入る人は珍しい」とのことです。同委員会金融商品部会で勉強を始めます。

[株主総会]

 数年前から、授業空き時間等に数社出席してきました。「物言う株主」というわけではありませんが、今年は3社で発言希望の挙手をし、うち2社で発言を許されました。
 少数株主提案が議題になった某社がどのように議案を処理するか興味をもちましたが、右提案の発言は皆無で、拍子抜けでした。
 総会たけなわの6月下旬、「社外取締役」の選任を促す会社法一部改正が成立しました(621日付日本経済新聞3面)。社外取締役等の悪しき実例は「SONY」です。ガバナンス構造は、菊澤研宗『比較コーポレート・ガバナンス論』132頁(有斐閣、2004)にありますが、指名委員会や報酬委員会があるものの、経営再建を果たせず経営を泥沼化させた外国人経営者に何と年間数億円を複数年度払い続け「猫の首に鈴」をつける役割を果たせなかったのです。
 今年の各社総会議案資料で気になった第1は、某教授が、何と6社目の社外取締役候補です。あくまで一般論ながら、教育で手一杯、研究もおぼつかない法科大学院とは専攻が違い事情が異なるにしても、大学勤務のかたわら、1社あたり推定1千万円前後の役員報酬を受け取りつつ経営に責任を負うのは、常識ではまず考えられません。株主としては、この人に社外取締役として報酬相応の貢献をしてもらえるか疑問です。取締役兼務企業数に上限がないのは、何とも不思議です。第2は、一般企業以上に事業内容が多岐にわたる総合商社の社外取締役候補が、他社の社外取締役を兼務している事例です。総会資料の選任基準には、「利益相反」に関して「取締役会の運用・手続にて適切に対処」と、極めて抽象的・楽観的表現にとどまりコンプライアンス・リスク管理・リスク認識が甘いように思われます。商法改正で社外取締役を重視・定着させたければ、選任基準を明確化し、候補者の「母集団」を広げることが肝要かと思われます。「コーポレート・ガバナンス」に関する専門書に数点当たりましたが、こうした実態への問題意識を有するものには、まだ遭遇しません。心当たりがあれば、お教え下さい。 

[大学自治の変質]

 2009年、塾が法務研究科(法科大学院)を設置する際に、当時の安西・黒田体制のもと、人事・財政に関する法務研究科教授会の「自治」を剥奪する学則10条に反対し、塾長からの法科大学院への「転籍」を拒否し、非常勤講師扱いで法務研究科の必修授業『行政法』(初年度は当時の植村教授を上回るコマ数)を担当しつつ退職時まで法学部にとどまった(これにより還暦後もゼミナールが続いた)ことは、ゼミ生諸君も記憶のとおりです。
 学校教育法及び国立学校法人法の一部改正法が6月に成立し、教授会自治は「風前の灯」です。現行の学校教育法は「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しており(931項)、この「重要な事項」が何か争いはあったものの、人事権を核にする「教授会自治」は守られてきました。今回、「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」(新932項柱書き)と、決定権者は完全に学長に移り、教授会具申の対象は「学生の入学、卒業及び課程の修了」(新9321号)、「学位の授与」(同2号)に限定されます。つまりは「学生処分」は列記されず、処分権者は学部長ではなく学長です。単科大学ならいざ知らず、総合大学では、全て学長専権ではうまく機能せず、学部長への委任を認めざるを得ないように思われます。人事権は、解雇事例において教授会決定と学長処分とが食い違う事例が皆無ではなかったにせよ、新任・昇任・解雇等の人事は、形式上は大学評議会なり学長であっても、実質的には学部自治を尊重してきました。今回の法改正での救いは、「前2号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」として、現行規定に近い概括条項が設けられていることです(同3号。国会修正案)。歴史的にみても「教育研究に関する重要な事項」には人事権が含まれます。曲者なのは「学長が定める」となっている点です。新3号が創設規定か確認規定かはさておき、新3号の「学長が定める」手順としては、事前に(ex ante)限定列記すると読むのが素直な気がします。しかし「その他」条項を活用する弾力的運用も、完全には否定されるべきではないと解します。
 純然たる教育機関ならいざしらず、伝統ある「研究」機関に対して、企業経営・企業統治の論理を持ち込むことは、当然のことながら慎重であるべきです。教育・研究・社会的活動の場での発言・執筆内容、研究内容・研究テーマ・研究分野等への「人事権」をからめた介入は、「学問の自由」を侵害しかねません。
 20093月の塾在任最後の教授会で強調したように、学部後輩諸君も、「学部自治」は決してぬるま湯提供や隠れ蓑であってはならず、その裏返しとして、重い「責任」を負うものであることを、肝に命じて欲しいものです。 

[映画・コンサート・観劇・カラオケ]

(1)コンサート:
 520日、MM21ホールでの日本経済新聞購読者対象の新日本フィル・コンサートに夫婦で行きました。チャイコフスキー・ヴァイオリン・コンチェルト独奏者の山根一仁は、一流演奏家に比して、まだまだ弱輩と感じました。

(2)観劇:
 425日、日生劇場での「ラヴ・ネヴァー・ダイ」に夫婦で行きました。ロンドン(天井桟敷)及び日本(劇団四季)で観た「オペラ座の怪人」の続編です。全般に前作の焼き直しで、唯一、クリスティーヌ役の平原綾香が歌うメインテーマ曲「ラヴ・ネヴァー・ダイ」が光っていました。

(3)カラオケ:
 目下西野カナ「We Don't Stop」を特訓中で、じきに披露できると思います。AKB48卒業後の板野友美(ともちん)の「Little」及び1stアルバム「S×W×A×G」収録の「Crush」等は、おいおい持歌にしていきたいと思いますが・・・。

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