近況報告 2014年11月21日

藤原研究会(藤原ゼミ)卒業生の諸君,本年もあと1か月になりました。その後お元気でお過ごしですか。

1025日の地域防災拠点防災訓練に参加しました。今週1122日(土)に反省会が予定され,これで町内会長職務の残務整理がほぼ終了します。

わが国男性の「健康寿命」は71歳強と聞きます。実年齢が近いこともあって,ひとごとではありません。平均寿命と10年ほど落差があるのは他国にはみられないようです。医療に限っても,データ至上主義で病人を増やしかねない健康診断,薬漬け医療,「尊厳死」要件等,多くの課題を感じます。

以下,本日現在での今年下半期の報告です。

[研究アウトプット及び取材メモ]

(1) 「討論記録・ガス体エネルギー制度改革に向けた展望と課題」公益事業研究66183101103頁。先便の318日公益事業学会ガス制度研究会のシンポジウムの記録です。

(2) 「行政判例研究・内閣官房報償費の情報公開請求に対する不開示決定の一部が取り消された事例」自治研究909126142頁。先便の1月の行政判例研究会での報告原稿です。

(3) 先便の『自治実務セミナー』不定期連載企画「町内会長がみた行政法」は本年12月号からスタート(近刊)。第1回は「地方税『前納報奨金』の是非」で,八っつぁん,熊さん,ご隠居,町内会長を登場させたところ,編集部が落語調にさらにみがきをかけ,一段と読みやすくなっています。

上記「町内会長がみた行政法」のネタ探しを兼ね,後述神戸出張の折に,阪急夙川駅から香炉園浜まで歩きました。西宮在住時に幾度となく散歩したコースです。途中,町内会の「夙川花の会」が,随所に花壇をつくって目を楽しませます。阪神淡路大震災の記憶プラス南海トラフ地震の津波被害が想定されるため,阪神香炉園近くに「指定避難所・津波避難ビル」等を説明する「津波啓蒙Cube」が立っています。今回は白鹿酒造博物館まで足をのばしました。昔の酒蔵を複製してみせる白鹿酒造館は,震災後移設したもので,震災当時の瓦礫も展示されていて印象に残ります。浜脇小学校(あるいは中学校だった?)が「避難所」に指定されており,大型のはしご車が出入り可能な門も用意されています。あちこちに「JRよりも北側に避難」の旨書かれていますが,JRのガードを超えた母校安井小学校も,海抜6メートルに満たないことを知りました。

阪急夙川駅近くのイタリアン「アルテ・シンポジオ」に寄りました(3度目)。前菜,パスタ(サンマとルッコラのリングイネ),デザートのパスタランチをとりました。今まで味わったイタリアンのなかで,最高においしいパスタ昼食でした。前回イカ墨を注文しましたが,そのことをシェフが覚えていたのには驚かされました。昼食後,さらに阪急苦楽園口まで歩き,阪急で三宮に出ました。元町6丁目まで歩いて南京町長安門のホテルに到着。元町商店街も海抜5メートル台ですから,津波で一撃です。いったん淡路島にぶつかってからの津波なので,避難に時間的に余裕があるとも聞きますが,買い物客を含めうまく避難できるのか,心配ではあります。この日はさすがに歩き過ぎた感ありです。

[学会活動]

(1) 1018日(土),19日(日),中央大学での日本公法学会に出席しました。年々,大教室の固い木の椅子を苦痛に感じます。自宅最寄り駅から大学最寄り駅(多摩モノレール)まで片道2時間を要するため,出費ながら京王プラザホテル多摩に一泊しました。慶應からは,小山剛教授が初日の総会報告に登壇し,彼は2日目第2部会での質疑も無難にこなしており,喜ばしく思いました。

思い起こせば,山田幸男・園部逸夫両先生の推薦で公法学会に入会してから40年余り。その間,故・田口教授の実質的番頭役として,2度目は主催校理事として,慶應での学会総会開催に裏方として汗をかいた割には,1986年「助成行政手段」(公法研究49号所収)と1996年「経済的自由権・営業の自由」(公法研究59号所収)の2度の部会報告のみで終わりました。1986年帰京時に仙台駅喫茶店で,園部逸夫先生に「初の学会報告でした」というと「まさか」の反応でした。「学会」というと血が騒ぎ(?),フロア発言要員をつとめているせいでしょうか。

今年の公法学会に話を戻すと,第2部会の質疑応答は,司会者が質問状を朗読し,報告者がそれに答えるという手順です。私は,学習院大学の常岡孝好報告が提唱する「無名主観訴訟」について質問しました。質問状に「常岡報告の上記提唱のモチーフである横浜保育所廃止条例事件は,抗告訴訟として扱われているため,新しい訴訟類型の論拠にならない」と断り書きしましたが,この部分は質問状の紹介から割愛されています。

(2) 富山大学で開催の日本経済法学会は,公法学会と完全に重なり参加できませんでした。同学会もかれこれ40年近いと思いますが,雄川一郎・市原昌三郎先生のあとを受け,鬼の学会監事をジャスト20年間拝命した「学会ギネスブック」級の記録(?)を保持しています。

(3) 1115日,公益事業学会第2回関東部会では,田邉朋行報告「敦賀発電所敷地破砕帯評価問題が提起した原子力規制ガバナンスの課題」のQ&Aで私の名前が挙がったもので,司会者から指名され,若干の感想を述べました。東京ガス総務部谷口元講演「チャレンジ2020ビジョン」では,攻める戦略の一方で,オリンピックに向けて首都圏という「おいしい市場」を守る戦略を質問しました。

(4) 公益事業学会の「学術研究会(電力)」,「ガス制度研究会」には,引続き参加しています。

[講演・特別講義]

(1) 98日(月)午後1時からの「日本原子力学会・秋の大会」社会環境部会セッションに講師として登壇し,関西電力大飯原子力発電所34号機運転差止請求事件一審判決(福井地判平成26521日)についてコメントしました。お昼は京大まで徒歩圏ということで寺町通り「よしくら」にて久しぶりに鰻重を堪能しました。おかわり自由の総菜数点がついているのも,この店の魅力でしょう。なお,講演録及び配付資料は,「日本原子力学会社会環境部会」ウェブサイトhttp://www.aesj.or.jp/sed/に登載される予定です。

(2) 野木村忠邦教授のご厚意により,1118日(火),日本大学大学院特別講義の機会を得ました。第1部「電気・ガス小売り自由化の現状と問題点」,第2部「わが国における原子力法制の課題と展望」の2部構成です。第2部の講義準備で,遠藤典子『原子力損害賠償制度の研究:東京電力福島原発事故からの考察』(岩波書店,2013),青柳榮『原発再稼働の壁』(エネルギーフォーラム新書,2014)の2書は有益でした。講義では,第2部の原子力は,第1部の自由化・システム改革と密接に関連する問題であること,本年10月の東京電力・中部電力の「包括的アライアンス」(東京電力HP2014107日付け報道資料)基本合意は,ガス会社を含めた業界再編の起爆剤になることを力説しました。そして結びの言葉として,理論・理念型先行ではなく実態に立脚した「現場主義」に立つこと,加えて「庶民感覚」を忘れないことが,このような問題を取扱うときに必要であることを力説しました。

講義には大学学部同級の杉下俊郎教授も聴講され,旧友を暖めました。

[セミナー・講演会の聴講]

授業及び自治会(町内会)から解放され,曜日による拘束が弱まったため,外部のセミナーに出かけやすくなりました。インターネットでの会議登録が主流のため,登録申請は事務所の秘書の方にお願いしています。

(1) 前回の報告漏れ1件。65日(木)住友不動産潮留浜離宮ビルでの「海外の改革事例から読み解く日本の電力市場の将来」と題するプライスウォーターハウスクーパース主催セミナーは,ドイツ及び豪州の報告がありました。前者は,現地会議に再三出席していているため,格別目新しさはありません。後者は興味深く聴き,「エネルギー小売価格の高騰は,主にエネルギーネットワーク設備(電線電柱とガス導管)費用の高騰に起因」との報告に,「ネットワーク設備費用の高騰は,インフレのためか,環境対応費用の上昇か,投資規模に見合う総額の上昇か,いずれの要因によるものか」と質問しました。

(2) 715日(火)から2日間,芝公園のパークタワー東京で「SoftBank World 2014:情報革命の舞台は,世界へ」があり,初日の孫正義氏の基調講演のみ聴きました。講演概要は,ITメディア社のWebsiteに報じられています(www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1407/15/news132html, accesed July19,2014)。前半がスマートフォン,タブレット端末,クラウドの「三種の神器」論,後半が「ロボット」が少子化人口減の日本を救うとの命題です。ロボットは軍事用,民生用を含め各国・各社が開発にしのぎを削っていますが,孫氏の構想がユニークなのは,自社開発ロボット,愛称「ペッパー(Pepper)」)を「プラットホーム」にして,各社の協力を得てロボット利用を進化させるというものです。孫氏の話を聴いていて,折角開発した「アイボ」をお蔵入りさせてしまったソニーの先見性のなさ,経営戦略の失敗を連想しました。「ペッパー」についは,821日付日本経済新聞12面「ザ・プロジェクト明日を拓く⑧ソフトバンク家庭用ロボット」を参照下さい。

(3) 723日(水)飯野ホールでコージェネ財団主催「国土強靭化とコージェネレーション」があり,鼎談「日本の成長戦略とナショナル・レジリエンス」とパネルディスカッション「2030年に向けたコージェネ普及拡大への展望」の2本に出ました。728日付けガスエネルギー新聞2面及びコージェネ財団機関誌『コージェント』53頁以下(201410月)に報じられています。前者鼎談を聞いて,我々退職者と登壇者との「生活実感」のズレを感じました。財団の前身である(研究休暇中の)1985年設立のコージェネレーション研究会(CRS。特別会員)時代に,コージェネは「熱主電従」が省エネルギーからみて最適運転であり,売電目的の「電主熱従」運転は邪道との議論がありました。この争点がどう扱われるか,後者パネルのプレゼンテーションを注目していたところ,森ビル(株)のプレゼンで「熱主電従」思想が依然健在であることを確認しました。

[映画・コンサート・観劇・カラオケ]

(1) カラオケ・アカペラ
ゼミ卒業生諸君との「カラオケ」は,ここ5年ほど途絶えていますが,持唄も飛躍的に増やしたことでもあり,機会が与えられることを願っています。
姪の結婚披露宴のため神戸に宿泊,カラオケの機会があり,声がかすれ気味ながらの西野カナ「We Don't Stop」,伍代夏子「忍ぶ雨」の2曲は本邦初演でした。板野友美(ともちん)「Crush」は,店のカラオケソフトになく,空振りです。披露宴本番は,持ち時間6分の制限のもと,アカペラで江利チエミ「新妻に捧げる唄」, Fanky Monky Babies「この世界に生まれたわけ」(short version)の2曲を披露し,この日ばかりは不思議に声がよく出て,会場でも好評だったように思います。

(2) コンサート・観劇
○ 108日(水)東京オペラシティでの「宮崎陽江ヴァイオリン協奏曲の夕べ」に,「クラシカジャパン」から(抽選で)招待されました。オケは秋山和慶指揮東京フィルハーモニー交響楽団です。コンサート冠企業らしき複数名での来場が目につき,通常のコンサートとは違う一種異様な感じです。終曲の目玉のメンデルスゾーンになると,うたた寝気味の聴衆も目を覚まし,聞き入っていました。同曲は日本人受けすることもあり,彼女の持ち味が生かされる選曲に感じました。
○ 1026日(日)墨田トリフォニーホールでの十束尚広指揮でアマチュア楽団「Philharmonia Aeterna20回定期演奏会」があり,事務所秘書で楽団チェリストの中村美佳さんから招待を受けました。最初の十束作曲の新作,全体3部構想だそうで(未完)現時点で評価の仕様がありません。2曲目のドホナーニ作曲チェロとオーケストラのためのコンメントシュトック。独奏者シュテファン・コンツは,急遽の代役ながら手慣れた演奏のように感じました。オケのチェロのパートも,独奏者に合わせ,なかなかの熱演です。3曲目はストラビンスキーのバレー音楽「春の祭典」です。1曲目,3曲目とも「にぎわしい」曲で,室内楽派の身には厳しい緊張を強いられました。
○ 915日ともちん「Live Tour S×W×A×G」及び102627日カナ「Halloween Collection」,いずれもチケット発売日にチケットピア等に電話しましたが,いずれも完売との音声応答で入手できませんでした。年内の予定としては,1129日(土)第二東京弁護士会楽寿会観劇会で東京宝塚劇場にでかけます。あと12月に「第九」を検討中です。

少し早いですが,よきクリスマス,よき新年をお迎え下さい。

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