第一次石油危機から50年、つまりちょうど半世紀の2023年も終わります。 新型コロナ(COVID-19)パンデミックもクリミア戦争から尾を引くウクライナ戦争も、なかなか終わりが見えてきません。2023年は中東戦争まで加わりました。どうやら独裁者(ロシア、イスラエル、北朝鮮、中国)に振り回される波乱の世界が続きそうです。それに加えて来年は米国大統領選挙も控え、トランプの復権も噂されています。わが国は隣接する核保有国と領土問題を抱えるという極めて難しい位置にあり、頼みの綱の米国への追随外交で間に合わせの外交でしのいでいますが、モンロー主義的共和党とどう調整するかという難題を突き付けられそうです。 他方、国内政治に目を向けると、かつて「選挙に強い安倍晋三」「安倍一強」と呼ばれていましたが、一枚皮をはがせば、「宗教団体」(旧統一教会及び創価学会)の組織力・動員力と、派閥パーティー裏金による地方議員をも巻き込んだ「金」の力だったという「からくり」が露見されました。当初「新資本主義」という空虚なキャッチフレーズの岸田内閣も、まるで選挙対策なのか、「少子化対策」を御題目に「子育て世代」の優先政策ばかりです(先便昨年12月の『エンジェル係数倍増(選挙対策?)』から変化無し)。早い話、「少子化対策」と「大学無償化」(医学部も?)とどうつながるのか?何故若者を(徒弟制や専修学校進学を含む)多様な生き方ではなく、大学進学という一方向にだけ誘導するのか?今一つピンときません。政権は、「国民目線」どころか特定の層しか相手にしていないという嘆かわしい状態です。首相支持率低下なら、代わりの自民党総裁候補が浮上する筈が、それができないというのは、末期的現象です。 より深刻なのは、金融及び財政政策です。安倍内閣のもと黒田日銀総裁による異次元の金融緩和について、黒田氏は、退任後の日本経済新聞連載の「私の履歴書」で、総裁時代の自己の政策は正しかったと持説をかえない確信犯です。彼は2%のインフレ目標をはるかに超える昨今の物価高(前回2023年12月号参照)にかかわらず、賃金インフレは起っていないので、金融緩和は時期尚早と考えてきたようです。しかし実際はそんな仮説の答え合わせの話ではなく、ゼロないし1割程度という信じられないような少額の自己資金だけでの住宅ローン借入れ者、国債利払い額の上昇回避等の政治的配慮...