近況報告(2019年7月12日)

「大阪G20サミットで世界景気浮揚策が話題になるだろうが、議長国日本が10月から消費税10%へ引上げすると景気に水を差すので、国際協調の観点から増税を見送らざるを得ない」とのアナリスト予測は、今回ものの見事に外れました。「かつての与野党合意にもとづくもので既成路線」「消費税引上げといってもわずか2%」という声が政財学界にあります。しかし年金支給額頭打ち、給与もさほど上がらない(夏のボーナス支給額は前年比下降)一方で、乳製品、紙パルプ等、生活密着財がじわじわと値上げされており、これに消費税が加わると厳しいというのが、日々特売品の買い物に終われる我々庶民のいつわらざる生活実感です。
 為政者は消費税引上げに際し、景気悪影響回避策と称し軽減税率の導入(小稿「不思議の国の消費税」旬刊速報税理1997221日号参照)や各種ばらまき助成策を用意しました。21日投票の参議院議員選挙に向け、安倍総理は彼の(終点が見えない)任期中は税率引上げはないと公約しています。しかし早晩消費税率が引上げを迫られるのは必至です。 
 直間(直接税・間接税)比率の見直しとして、消費税増税と、思い切った法人税・所得税減税とをセットにすべきでした。そうすれば景気に悪影響もなく、今回の思い付き的不平等ばらまき助成策は無用ですし、中期的な財政再建の道筋もみえてきます。また軽減税率も、食料品限定の小細工的な「税率据え置き型」ではなく、食料品に加えて電気・ガス、水道等の生活必需サービスもあわせ0~5%程度に「軽減」すべきです。各政党・政治団体の参議院選挙公約をみると 、食料品税率5%引下げは幸福実現党のみのようです。
〇 時事問題については、イラン問題はじめ、まだまだ書きたいことがありますが、今回はこのあたりにとどめて、恒例の本年上半期(プラス7月初旬)の近況報告に移ります。

[研究]
〇 昨年、法学研究919号及び10号に分載掲載した「311以後の電力市場改革 序説(1)(2完)」について、「電子情報で読めないか?」との照会を各方面から頂いていました。刊行から半年で全文登載解禁という)ルールにしたがい「慶應義塾大学学術情報リポジトリ(Keio Associated Repository  of  Academic Resources; KOARA)に全文が登載されました。9月号はhttp://koara.lib.kei o.jp/xoonips/ >法学部>法学研究>91(2018)91(9)10月号は同じく91(2018)91(10)です。
 上記論文は昨年6月の公益事業学会報告の再録で、国がベースロード電源として位置付ける原子力発電及び石炭火力は、最悪ケースである原子及び石炭ゼロとして、新シナリオを描くべきとの主張です。ここ一年の世の中の動きは、まさにそのように向かいつつあると感じます。そのためそんなに古びた内容にはなっていないと自負しています。
〇 出版
 第二東京弁護士会情報公開・個人情報保護委員会編『AI・ロボットの法律実務QA』勁草書房(20192月)(ISBN978-4-326-40363-9)が刊行されました。巻末の編集委員に私の名が挙がっています。第5章「行政法分野」の項目選びに若干アドバイスし、実際の執筆は東洋大学早川教授を含む中堅・若手の弁護士が担当しています。

[学会・研究会活動]
〇 68日及び9日名古屋市立大学桜山校舎で開催の公益事業学会に出席しました。8日午後シンポジウムは上下水道がテーマで、いくつか問題は感じたものの、発言は控えました。
 9日午前エネルギーセッション足立宗喜報告「エネルギー事業における持続可能な変革について」に対しては、第1にデルファイサーベイの質問対象者の適格性に問題はないか、第2に「再生可能エネルギー100%社会の実現時期」が2075年という予見不可能な時点という楽観的な話ではなく、その実現に至る「条件」を詰めていくことの重要性を指摘しました。
 芳賀普隆報告「長崎県の離島における再生可熊エネルギー普及の現状と課題」に対しては、「再生可能エネルギー立地に伴う環境問題、景観問題」の項目で、洋上風力と漁業の関係に言及がない点を質問しました。午後電カセッション2報告への発言は控えました。
〇 引き続き「公益事業学会学術研究会(電力)」に加わります。今年新たに公益事業横断的に「ナショナル・ミニマム」もテーマに加える、と聞いています。

[社会的活動]
〇 第二東京弁護士会では、引続き「情報公開・個人情報保護委員会」委員です。

[ゼミOB会]
〇 今年の幹事24期村上君らのご尽力で、622日(土)夕刻、3年前と同じ会場、帝国ホテル地下の東京三田倶楽部にてゼミOB会が開催されました。あいにくの雨にもかかわらず、北は北海道から南は大分から20名ほどの出席です。一次会余興として、元号もかわったことなので、昭和から「青い山脈」、平成から「Have a nice day」の2曲を予定していました。もっと悪天候なら「嵐を呼ぶ男」か「風速40 メートル」に代えるところでした。例年以上に卒業生の近況報告スピーチに時間配分したこともあり、余興は西野カナ曲にとどめました。例年通り、卒業生のスピーチによって各自の近況がよくわかっただけではなく、私自身にとっても考えさせられる内容のものもあり、勉強にもなりました。また来年が楽しみです。
 二次会カラオケは8名で、私は、カチューシャの唄、Everydayカチューシャ(しばらく歌ってなくて失敗)、パープルタウン、能登半島、帰ってこいよ、風雪流れ旅、以上6曲をうたいました。

[趣味:音楽、映画、美術館等] 
〇 カラオケ
 このところ持ち歌新曲を西野カナから選んでいましたが、彼女の活動停止によりお先真っ暗です。
〇 映画
 72日、イオンシネマ・みなとみらいで「新聞記者」を観ました。週日の昼間の割に客の入りもまずまずです。森友学園と加計学園とをミックスし、さらにスパイスを効かせたようなストーリーで、参議院選挙の直前に公開した配給会社の英断に敬意を表します。
〇 美術館
 628日渋谷文化村ザ・ミュージアムで「印象派への旅ー海運王の夢:バレル・コレクション」を観ました。スコットランド、グラスロー美術館のバレル・コレクションからの展示が中心で、寄贈の条件であった門外不出ならぬ「国外不出」のところ、美術館建替え工事のため今回持ち出されたとか。目玉はドガの「リハーサル」。
 ドガといえば数年前、横浜美術館での展示が印象的です。海運王バレルの絵画収集に画商ゴッホ弟も一役かったこともあってか、フランスのほか、(1993年夏、 夫婦でライデン滞在中にしばしば足を運んだ)オランダ、ベルギーの絵画が多くみられました。それはともかく、印象派といってもルノアール党にとっては、(ルノアールが皆無ではなかったものの)正直物足りなさを感じました。

〇 では諸君、次回 (12月上旬頃)までお元気で、さようなら 

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